【フィレンツェ 11月30日】
本日、トスカーナ大公国において、統治者レオポルト1世が死刑制度の全面廃止を宣言した。欧州における刑罰制度の転換を象徴する歴史的布告であり、国内外に大きな衝撃を与えている。暴力による刑罰に依存しない国家運営を掲げ、体系的な司法改革を進めてきた同大公の方針が、ついに法として結実した形だ。
今回の布告により、国家が罪人の生命を奪う刑罰はすべて撤廃され、拷問の使用も明確に禁止された。これに先立ち、レオポルト1世は数年にわたり各地の治安状況や裁判記録を調査し、刑罰の厳罰化が治安改善につながらないとの認識を強めていた。宮廷関係者によれば、大公は「国家の権力が生命を奪うことは、社会にさらなる残虐性を植え付けるだけだ」と述べたという。
フィレンツェ市内では、布告を知らせる鐘が鳴らされ、人々が広場に集まって知らせを読み上げる役人の声に耳を傾けた。市民の間には驚きと期待が入り混じった空気が漂い、ある若い書店主は「こんな改革が我が国で実現するとは思わなかった。未来が変わるかもしれない」と興奮気味に語った。
一方、保守派の一部貴族からは、厳罰の後退が治安悪化を招くとの懸念も出ている。しかし大公周辺では、刑罰の目的を“報復”から“改善”へと移すべきだとの理念が強調されており、今後は収容制度の見直しや更生支援も進められる見通しである。
今回の布告は欧州諸国に先駆けた例であり、隣国の知識人や外交官の間では「文明国家の新しい道を示した」との評価も上がっている。刑罰制度の近代化は大陸全体で議論が続いており、トスカーナの一手が各国に影響を与える可能性も指摘されている。
本日の宣言は、暴力を伴わない司法理念を国家の根幹に据えた重大な転換点であり、レオポルト1世の治世を象徴する出来事として長く記憶されることになりそうだ。
— RekisyNews 国際面 【1786年】
