ノーベル氏、莫大な遺産を科学と平和のために──賞の設立を遺言で表明

アルフレッド・ノーベルの遺言書(1895年11月27日署名)

【ストックホルム 11月27日】

本日、スウェーデンの化学者・発明家であり実業家として知られるアルフレッド・ノーベル(62歳)が、自身の遺産をもとに世界的な賞を創設する内容の遺言状に署名したことが明らかとなった。署名はパリにあるノーベル氏の滞在先で行われ、信頼する法律家たちの立会いのもと正式に作成された。

この遺言によれば、ノーベル氏の全資産の大部分は基金に充てられ、「人類に最大の貢献をした者」に対して五部門(物理学、化学、生理学・医学、文学、平和)にわたる賞が授与される予定である

遺言には次のように記されている:

「私の遺産から資金を運用し、その利子を毎年、前年に人類のために最も貢献した人々に分配すべし」

また、賞の選考と授与はスウェーデンおよびノルウェーの機関が担うこととされ、物理学賞と化学賞はスウェーデン王立科学アカデミーが、生理学・医学賞はカロリンスカ研究所が、文学賞はスウェーデン・アカデミーが、そして平和賞はノルウェーの国会によって選ばれると明記されている。

ノーベル氏はダイナマイトの発明で巨万の富を築いた一方、その発明が戦争で用いられることを深く憂慮していたとされ、晩年にはしばしば「死の商人」と見なされることを気にかけていた。今回の遺言は、その懸念を払拭し、後世に対して建設的な貢献を望む意志の表れと受け止められている。

実際の賞の創設や運用には、ノーベル氏の死後に遺族や関係機関の合意が必要となる見通しだが、本日の署名が人類史上に残る新たな知と平和の顕彰制度の第一歩となることは間違いない。

— RekisyNews 社会面 【1895年】

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