【クレルモン 11月27日】
本日、フランス中部オーヴェルニュ地方のクレルモンにて開催されていた教会会議(クレルモン教会会議)が最終日を迎え、教皇ウルバヌス2世は聖地エルサレム奪還を目的とする武装巡礼の実施を正式に宣言した。この歴史的な呼びかけに、会場に集まった聖職者・貴族・民衆の多くが熱狂的に反応した。
教皇は演説の中で、東方教会(ビザンツ帝国)の皇帝アレクシオス1世がイスラム勢力からの軍事的支援を求めていることに言及。これに応える形で、ローマ教会は西方のキリスト教徒に「信仰と名誉のため、武器を取り、聖地を救わんことを」と訴えた。
演説の最後には、「神の御心(Deus vult)!」と繰り返し唱えられ、会場は熱狂の声に包まれた。この一言は瞬く間に信者たちの間で広まり、武器を持って東方へ向かう「十字軍」結成の機運が高まっている。
教皇はまた、この遠征に参加する者には罪の赦し(贖宥)を与えると明言。これにより、既に多くの貴族や騎士たちが参加を表明しており、来春以降には各地から大規模な巡礼軍が編成される見通しである。
この決定は、西方教会と東方教会の協調を促す宗教的意味合いを持つと同時に、分裂の続く西欧諸侯の関心を外に向けさせる政治的意図も含むと見られる。
今後数か月以内に、フランス、イタリア、ドイツなどから数万の巡礼兵が聖地へ向けて進軍する可能性が高く、キリスト教世界全体の運命を左右する遠征となることは間違いない。
— RekisyNews 宗教面 【1095年】
