【東京・有楽町 11月25日】
本日正午過ぎ、東京都千代田区有楽町のビル前路上で、銀行関係者が輸送中の現金約3億円が奪われる事件が発生した。白昼の繁華街、しかも人通りの多い時間帯での犯行であり、その大胆さに驚きと不安の声が広がっている。
警視庁によると、現金は大手企業のボーナス支給に伴い準備されたもので、輸送中の社員らがワゴン車に積み込んだ直後、犯人は覆面姿で突然現れ、催涙スプレーのようなものを使用して一時的に関係者の動きを封じた。そのすきに現金入りのジュラルミンケースを奪い、別の車両に乗り込んで逃走したという。
事件現場はJR有楽町駅からほど近く、周囲にはオフィスビルや百貨店が立ち並ぶ東京有数の繁華街。多くの目撃者がいたとされるが、犯人はわずか数分で現場を離脱し、逃走車両の行方も不明のままだ。
警視庁捜査一課は、綿密な下見と事前の準備があったと見て、組織的な犯行の可能性を視野に捜査を開始。現場周辺の防犯カメラの解析や、目撃情報の収集が急ピッチで進められている。
日本では1968年の「三億円事件」が記憶に新しいが、今回も同額の被害となったことから、報道各社では「第二の三億円事件」として取り上げる動きが出ている。現金の所在はいまだ不明で、早期の犯人逮捕が求められている。
— RekisyNews 社会面 【1986年】
