農家の主婦変死、養子を逮捕──比婆郡で「山本老事件」発生

【広島県比婆郡下高野山村 11月24日】

本日早朝、比婆郡下高野山村にて、農業を営む山本家の主婦(56歳)が、自宅の飯櫃に頭から突っ込んだ状態で死亡しているのが発見された。当初は事故と見られていたが、その後の検視により他殺の疑いが浮上し、警察は家督相続していた養子の男性(29歳)を尊属殺人容疑で連行した

第一報では、主治医が「脳溢血による突然死」と診断したものの、警察の嘱託医は「右手で首を絞めた痕がある」として扼殺による他殺と断定。村内では穏やかだった山本家で突如発生した変死に、近隣住民の間に動揺が広がっている。

逮捕された養子は当初容疑を否認していたが、警察は2日2晩にわたる取り調べを実施し、供述調書に署名・押印を得たと発表。しかし、その調書は白紙同然であり、強要の可能性があるとの指摘も一部から上がっている

村内では「家督をめぐる確執があったのでは」との憶測も飛び交っているが、明確な動機は示されていない。冤罪の可能性や取り調べの適正さを問う声も出始めており、事件は司法制度全体への信頼を揺るがしかねない局面を迎えている

警察は引き続き事件の全容解明を進めるとともに、改めて死因の医学的裏付けや証拠の再検討に着手するとしている。

— RekisyNews 社会面 【1928年】

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