女性の声を社会へ──新婦人協会、設立を正式に発表

【東京 11月24日】

本日、東京市内にて、日本で初となる女性による社会改良団体「新婦人協会」の設立が正式に発表された。設立発起人には、平塚らいてう氏、市川房枝氏らが名を連ねており、婦人の法律的地位の向上や、女性にも政治的発言の機会を与えることを目的とした革新的な運動として、各方面から注目が集まっている

会の趣意書によれば、「婦人が人として、個人として、また社会の成員として、正当に遇される社会を目指す」ことが理念として掲げられている。とりわけ、刑法第5編(治安警察法)第5条により、女性が政治集会に参加することが禁じられている現行法の改正を最優先課題とする方針を明らかにした。

新婦人協会の設立は、大戦後の国際的な婦人解放運動の潮流と歩調を合わせたものであり、日本国内でも女性たちが自らの言葉で社会に訴えかける時代が始まったことを象徴している

今後は演説会や講演会を通じて、法改正の署名運動や啓発活動を進めていくとしており、「女性がただ家庭にとどまるのではなく、公共の場にも立ち得る存在であることを証明したい」と、平塚氏は記者団に語った

現在、政界では婦人参政権の議論はなお先送りされているが、この新たな組織の誕生は、婦人問題が単なる私的なものにとどまらず、国の将来に関わる重要課題として再認識されつつある兆しともいえよう

— RekisyNews 社会面 【1919年】

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