【ベルリン 11月21日】
フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトは本日、ベルリン滞在中に「大陸封鎖令」と呼ばれる布告を発し、ヨーロッパ諸国に対しイギリスとの通商・通信を全面的に遮断するよう命じた。英海軍の制海権によってフランス経済が圧迫される中、陸上の優位を生かしてイギリスを孤立させる狙いがあるとみられる。
布告は、フランス帝国およびその影響下にある諸邦に適用され、イギリスからの貨物の輸入、英国籍船の寄港、英国製品の販売をすべて禁止する内容。さらに、英国との書簡・新聞・印刷物の受け取りも禁じられ、外交・商業の両面で前例のない強硬策となった。ナポレオンは将官らを前に「海を支配する者に陸で対抗する」と述べ、英仏対立をより深める姿勢を示した。
ベルリン市内では、布告の読み上げを聞く市民や商人が集まり、ヨーロッパ経済への影響を案じる声が上がっている。英製綿布や工業製品に依存してきた地域では、今後の供給不足が避けられず、価格の高騰も懸念される。一方、フランス政府は自国産業の育成につながるとして布告を支持。従来より国内保護を求めてきた業者は歓迎の意を示した。
ただ、広大な欧州全土で封鎖を徹底することが可能かについては疑問の声もあり、英海軍の優勢が続く限り、密輸の横行は避けられないとの見方も多い。今回の命令は、ヨーロッパの政治と経済の均衡を大きく揺さぶるものとなりそうだ。
— RekisyNews 国際面 【1806年】
