【東京 11月19日】
連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は本日、日本国内で製作・公開された映画のうち、軍国主義・超国家主義・封建的思想を助長すると判断した計236本について、上映の禁止およびフィルムの焼却処分を日本政府に命じた。敗戦後の民主化政策の一環として、戦時宣伝映画や皇国史観を強調する作品を文化面から排除する措置が本格化した形だ。
対象となったのは、開戦直前から敗戦までの間に製作された国策映画や教育映画のほか、軍人精神の美化、犠牲精神を称揚する内容を含む作品群。日本の映画配給会社と興行組合には、即時の上映中止と在庫フィルムの提出が通達された。都内の映画館関係者は「突然の指令で混乱は避けられない」としつつも、占領政策への協力姿勢を示した。
GHQ民間情報教育局(CIE)の担当官は取材に対し、「映画は大衆に与える影響がきわめて大きい。民主主義国家の再建のため、旧来の軍国思想を断ち切らねばならない」と述べた。一部の作品は研究用途として保存される可能性があるものの、一般公開は認められない見通しである。
一方、映画人の間では複雑な空気が広がっている。ある脚本家は「戦時下では自由な製作が許されず、当時の映画人にも抗弁の余地は少なかった」と語る。焼却命令により、日本映画史の重要資料が喪失する懸念も上がっている。
映画館の客足はここ数か月で回復傾向にあったが、今回の措置により新作の供給体制は一時的に混乱する可能性がある。占領下の日本文化は、いま大きな転換点を迎えている。
— RekisyNews 文化面 【1945年】
