【パリ 11月17日】
フランスの自動車大手ルノー公団を率いるジョルジュ・バス総裁が本日朝、パリ南郊ビエーブルの自宅前で何者かに銃撃され死亡した。事件は出勤のため車に向かうバス氏を襲ったもので、犯行は組織的かつ計画的とみられ、国内に大きな衝撃が走っている。
警察当局によれば、犯人は待ち伏せしていた複数名とみられ、至近距離から短銃を発砲。バス氏は即死状態で発見され、犯人らはそのまま車両で逃走した。現場には使用されたとみられる弾丸が残され、専門部署が鑑識を進めている。犯行声明は出ておらず、動機は依然不明だが、近年のルノーの経営改革や政府との関係をめぐる緊張が背景にあるとの見方も浮上している。
バス氏は公団の立て直しに尽力し、生産体制の整理や国際協力を進めていた。政府は事件を「共和国に対する重大な挑戦」と非難し、内務省はパリ都市圏の警備強化を指示。政界からは暴力を断固拒否する声が相次いでいる。
急速な欧州経済統合の中で、フランス産業界を象徴する企業トップが暗殺された事態は、政治・経済双方に深い影響を及ぼすことは避けられない。国内は不安と混乱に包まれている。
— RekisyNews 国際面 【1986年】
