【カリフォルニア州 11月16日】
禁酒法時代の暗黒街を支配した元ギャングのアル・カポネ(39)が、本日、連邦当局により釈放され、5年余りに及ぶ収監生活に幕を下ろした。かつての勢力は既に失われ、本人は深刻な梅毒の進行によって衰弱しており、帰郷後は療養に専念するとみられる。
カポネは1931年、脱税容疑で有罪判決を受け、のちにサンフランシスコ湾内のアルカトラズ連邦刑務所へ移された。だが健康状態が急速に悪化したため、本年1月6日に同刑務所を離れ、カリフォルニア州のターミナル・アイランド連邦矯正施設へ移送。以後は治療を受けつつ拘束が続いていた。
釈放手続きは本日午前に完了し、家族の待つフロリダ州パームアイランドへ戻る手配が進められている。全盛期は犯罪組織を束ねて巨利を得たカポネも、いまや面影は薄く、連邦職員によれば「普通の病人にすぎない」という。
アメリカ犯罪史の象徴的存在の退場に、世間の反応は複雑だ。治安当局は「法の支配の勝利」と強調する一方、かつて彼の暴力に怯えた市民の間には、長い時代が終わったとの声も上がっている。
— RekisyNews 社会面 【1939年】
