ドイツ、紙幣価値の崩壊に新通貨で対処 「レンテンマルク」発行開始

【ベルリン 11月15日】

長期にわたり続いたドイツの急激なインフレーションに終止符を打つため、政府は本日、新たな臨時通貨「レンテンマルク」の発行を開始した。敗戦後の賠償負担と財政の混乱によって貨幣価値が崩壊し、パン一斤が数十億マルクに達する異常な物価高が続く中、経済再建の切り札として導入されたものだ。

レンテンマルクは、金ではなく農地や工業用地を担保とした信用証券を基礎に発行される。これにより、政府の無制限な紙幣増刷を抑え、市場に実物資産に裏づけられた信頼を回復させる狙いがある。発行業務を担うのは新設の「ドイツ租税銀行(レンテンバンク)」で、1レンテンマルク=1兆旧マルクの換算で流通を開始した。

首都ベルリンでは、店舗が旧紙幣を束にして束ねる光景が日常となっていたが、商人や労働者の間には「ようやくまともな取引ができる」と安堵の声が広がる。一方で、賃金の支払いが追いつかず、生活必需品を求める混乱はなお続いており、新通貨が実際に信用を取り戻せるかは予断を許さない。

政府は、財政収支の均衡と外国資本の流入を促す方針を明言。レンテンマルクが安定への足がかりとなるかどうか、国民の期待と不安が交錯している。

— RekisyNews 経済面 【1923年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次