【ウィルミントン 11月10日】
本日、ノースカロライナ州ウィルミントンで武装した白人至上主義者の集団が暴動を起こし、黒人住民を中心とする地元政権を暴力的に打倒した。これにより、アメリカ合衆国史上唯一の「クーデターによる自治体転覆」が発生した。
暴動は、白人民主党支持者の組織「白人市民連盟(White Citizens’ League)」および退役軍人を含む武装民兵によって計画されたもので、新聞社「デイリー・レコード(黒人系メディア)」が焼き討ちに遭ったことを皮切りに、暴徒たちは市内に侵攻。複数の黒人住民が射殺され、千人以上が避難を余儀なくされている。
その後、現職の市長や市議会議員(共和党・黒人を含む)は辞任を迫られ、代わりに白人民主党関係者が不法に政権を掌握。この政変は、11月8日の州選挙における民主党の州政掌握に連動した形で行われた。
ウィルミントン市は、黒人中産階級と白人自由主義者が共存する数少ない南部都市であったが、白人至上主義者の扇動により緊張が高まり、暴力に発展した。今後、連邦政府の対応や南部諸州への波及が懸念されている。
— RekisyNews 国際面 【1898年】
