【ボビニー 11月8日】
本日、パリ郊外のボビニー刑事裁判所にて、当時16歳の少女の妊娠中絶を支援した母親を含む成人4名に対する裁判が始まった。フランスでは現在、堕胎は非合法とされており、本件は刑法違反として訴追されているが、女性の身体的自由と選択権を問う象徴的裁判として、国内外の注目が集まっている。
少女はレイプの被害に遭い妊娠、母親をはじめとする周囲の大人が中絶を手助けした。弁護団にはフェミニスト弁護士として知られるジゼル・アリミ氏が就任し、女性の権利と法の矛盾を法廷で真正面から訴える構えだ。
法廷前には多くの支援者や報道陣が詰めかけ、「私たちも中絶した」と名乗り出た女性343人による抗議声明(いわゆる「343人のマニフェスト」)も先日発表されたばかり。フランス社会における女性の自己決定権と生殖の自由を巡る議論が本格化するきっかけとなりそうだ。
今回の裁判は、単なる一件の刑事事件にとどまらず、来るべき法改正──ヴェイユ法の制定へと繋がる可能性を秘めた歴史的節目として、今後も国内外からの大きな関心を集めるだろう。
— RekisyNews 社会面 【1972年】
