【ミュンヘン 11月4日】
本日、バイエルン州都ミュンヘンにおいて、国家社会主義ドイツ労働者党(NSDAP)が党内の新たな準軍事組織「突撃隊(Sturmabteilung, SA)」を発足させた。通称「SA」として知られるこの部隊は、当初、党の集会における警備や秩序維持を目的として設立されたが、その実態は、街頭での示威行動や、他の政治勢力に対する実力行使も辞さない過激な活動部隊となることが予想される。
SAの起源は、党の熱狂的な支持者たちによる「体育・運動部門」あるいは「会場警備隊」という名の集団に遡る。彼らは、党の指導者であるアドルフ・ヒトラー氏の演説会において、反党的な野次や妨害活動を行う者を排除する役割を担ってきた。
部隊の構成員は、第一次世界大戦の復員兵や、戦後に組織された義勇軍(フライコール)の元メンバーが主体となっており、その多くが戦闘経験と高い政治的熱意を持つ。彼らは褐色のシャツを制服とし、党のシンボルである鉤十字(ハーケンクロイツ)を掲げ、強力な組織力と規律を誇示している。
党の指導部は、SAを単なる警備隊に留めず、党の政治的意思を街頭で物理的に体現する「突撃部隊」として位置づけている。彼らは、敵対勢力との衝突も辞さない姿勢を示しており、ミュンヘンをはじめとするドイツ南部の政治的な緊張を一層高める要因となることは避けられない。
ヴァイマル共和国の混乱が続く中、過激な党派が公然と私兵組織を持つことは、民主主義の秩序に対する重大な挑戦であるという懸念が、保守派や社会主義陣営から上がっている。
— RekisyNews 社会面 【1921年】
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