【ストックホルム/東京 11月3日】
スウェーデン王立科学アカデミーは本日、本年度のノーベル物理学賞を日本の理論物理学者・湯川秀樹氏に授与することを正式に発表した。これにより湯川氏は、日本人として初めてノーベル賞を受賞する快挙を達成した。
受賞理由は、素粒子の一つ「中間子」の存在を理論的に予言した業績によるもの。湯川氏は1935年、「素粒子の交換による核力の理論」を発表し、陽子や中性子が中間子を交換することで原子核内に強い力が働くとする革新的な理論を提唱した。この理論は、後に実験的にも裏付けられ、現代物理学に大きな影響を与えた。
授賞式は例年通り、12月10日にストックホルムで行われる予定。授賞理由においてアカデミーは、湯川氏の「独創的かつ理論物理学への深い洞察力に基づく研究」が科学界に大きく寄与したと評価している。
日本国内では、敗戦から4年しか経っていない中での受賞に、国民の間に歓喜と誇りの声が広がっている。政府関係者や学界からも称賛の声が相次いでおり、科学技術による国際的信頼回復への明るい兆しと受け止められている。
なお、湯川氏は京都大学教授を務めており、かつて朝永振一郎氏や坂田昌一氏らとともに理論物理の発展に寄与。今回の受賞は、日本の科学者の地位を国際的に高める重要な一歩となった。
— RekisyNews 科学面 【1949年】
