【ワシントン 11月2日】
本日、日本の石井菊次郎特命全権大使と、アメリカのロバート・ランシング国務長官との間で、いわゆる「石井・ランシング協定」が正式に締結された。日米両国が中国における互いの基本方針を確認し合った初の外交合意であり、今後のアジア情勢にも大きな影響を及ぼすとみられる。
協定の中で、アメリカは中国の領土保全と門戸開放政策(オープン・ドア)を維持する姿勢を強調。一方で日本の側は、中国に対する地理的・政治的特殊利益の存在を米国に初めて明文化のうえで認めさせた。この合意は、1915年に日本が中国に突きつけた「対華二十一ヶ条要求」以降、対中政策をめぐって緊張していた日米関係を一時的に緩和する狙いがあるとみられる。
協定成立の背景には、第一次世界大戦下における米国の対日関係重視と、東アジアの秩序維持への思惑がある。中国ではすでに反発の声が上がっており、列強による利権の再確認にほかならないとする見方も強い。
石井大使は会見で、「両国の相互理解と友好の第一歩である」と述べた。一方で、協定文中には中国政府の意向が一切反映されていないことから、今後の波紋が懸念されている。
— RekisyNews 外交面 【1917年】
