浅沼氏刺殺の山口二矢、収監中に自害 警視庁、動機と背景の解明急ぐ

【東京 11月2日】

先月12日、日本社会党委員長・浅沼稲次郎氏を日比谷公会堂で刺殺し、殺人罪で起訴された右翼団体元会員の山口二矢(やまぐち・おとや、17歳)が、本日未明、収容先の東京少年鑑別所で自ら命を絶ったことが明らかとなった。

山口は午前6時頃、鑑別所内の部屋で布団のカバーを裂いて即席の縄を作り、鉄格子に括りつけて首を吊った状態で発見された。職員がすぐに救助を試みたが、すでに死亡していたという。部屋は個室で、凶器となるような物品は置かれていなかったとされる。

警視庁関係者によれば、山口は取り調べに対し終始一貫して動機を語ろうとせず、「日本を思うがゆえの行動だった」とのみ述べ、詳細な供述を拒んでいた。部屋には血で書かれたとみられる遺書のような文字が残されており、「七生報国」や「天皇陛下万歳」などの言葉が認められていたとの情報もある。

事件後、山口の行動は国内外で大きな波紋を呼んでおり、当時17歳という年齢での重大事件とあって、青少年の思想的極端化や暴力への傾斜に対する社会的議論が高まっていた。今回の自害により、事件の背景や教唆の有無など、多くの真相が不明のままとなる可能性も指摘されている。

法務省および警視庁は、山口の思想背景や交友関係についての調査を継続する方針を示しており、右翼団体との接点や当日の行動記録についても再精査を進めるとしている。

— RekisyNews 社会面 【1960年】

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