【パリ 11月2日】
混乱続くフランスで本日、新たな統治機構「総裁政府(Directoire)」が正式に発足した。これは先月採択された1795年憲法(共和暦第3年憲法)に基づくもので、王政と恐怖政治という両極の失敗を経て、安定と均衡を目指す新体制への第一歩となる。
総裁政府は5人の総裁(Directeurs)による合議制の行政執行部と、上下両院(500人会と長老会)からなる立法部によって構成され、権力の集中を防ぐ狙いがある。執行権を担う初代総裁には、元公安委員会のポール・バラスらが就任。立法部には革命の古参も含まれるが、急進派ジャコバンの影響力は大きく削がれている。
この制度は、1793年以降の恐怖政治や、王政復古を試みた反革命勢力への反省を踏まえた折衷案とされ、民衆の政治参加を一定程度認めながらも、権力の暴走を抑える構造が意識されている。
だが一方で、既に国内では食糧不足やインフレ、王党派の暴動も散発しており、政権の安定には課題が残る。また軍部、とりわけ台頭著しいナポレオン・ボナパルト将軍の影響力が今後どこまで強まるかにも注目が集まっている。
フランスは革命から6年を経て、王政でも専制でもない、共和制の模索を続けている。
— RekisyNews 国際面 【1795年】
