【ローマ 11月1日】
本日、バチカン市国にあるシスティーナ礼拝堂にて、巨匠ミケランジェロ・ブオナローティによる天井画がついに一般公開された。1508年からおよそ4年の歳月をかけて描かれたこの壮大なフレスコ画は、旧約聖書「創世記」に基づいた九つの場面を中心に、預言者や異教の巫女、先祖たちが描かれ、約500平方メートルの天井を覆う壮観な構図となっている。
教皇ユリウス2世の命により着手されたこの事業は、当初、彫刻家として名を馳せていたミケランジェロにとって異分野での挑戦だったが、彼はこれを受け入れ、独自の構図と人間表現によって、聖書の物語に新たな命を吹き込んだ。なかでも「アダムの創造」に見られる、神とアダムが指先を伸ばし合う場面は、神聖さと人間性の象徴として、さっそく訪問者たちの感嘆を集めている。
公開初日となった本日、礼拝堂には高位聖職者や貴族、芸術家らが多数詰めかけ、天井を見上げては沈黙し、やがて拍手と讃美の声が湧き上がった。ある枢機卿は「これは単なる装飾ではなく、神と人との対話が描かれている」と述べた。
今後、この礼拝堂は教皇選出のコンクラーヴェの場としても使われる予定であり、天井画の精神性はその儀式に荘厳さを加えるものとして期待されている。
ミケランジェロは現在もバチカンに留まり、さらなる作業に備える意向とされる。芸術と信仰が融合したこの天井画は、キリスト教芸術の新たな到達点として、後世に長く語り継がれることだろう。
— RekisyNews 芸術面 【1512年】
