【ニューデリー 10月31日】
本日午前9時20分頃、インドのインディラ・ガンジー首相(66)が、ニューデリーの自宅官邸敷地内で自身の護衛官に銃撃され、搬送先の病院で死亡が確認された。 独立後のインドにおける首相暗殺はこれが初であり、国内外に激震が走っている。
首相を襲撃したのは、警護担当のシーク教徒の警察官2名。 ガンジー首相が敷地内を歩いていた際、至近距離から自動小銃などで十数発を発砲したとされる。現場で1名がその場で射殺され、もう1名は取り押さえられている。
事件の背景には、今年6月に政府が軍を動員し、シーク教徒の聖地アムリトサルの「黄金寺院」に立てこもる過激派勢力を武力鎮圧した「ブルースター作戦」がある。 この軍事行動で多くの民間人や聖職者が犠牲になり、シーク教徒の間で深い怒りと反発を生んでいた。今回の襲撃も、その報復である可能性が高いと見られている。
インディラ・ガンジー氏は、初代首相ネルーの娘として政治の道を歩み、1966年にインド初の女性首相に就任。 国内の社会改革や核保有、非同盟外交などを推し進め、長年にわたりインド政治を牽引してきた。
遺体は現在、首都ニューデリーに安置されており、明日にも国葬が行われる見通し。首相職は、副首相であったラジーヴ・ガンジー氏(長男)が引き継ぐとの報道もある。
首都では暗殺を受けて、シーク教徒への報復を警戒した厳重な警備体制が敷かれており、混乱の拡大が懸念されている。
— RekisyNews 国際面 【1984年】

 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			