【フロリダ州ケネディ宇宙センター 10月29日】
本日、アメリカ航空宇宙局(NASA)はスペースシャトル「ディスカバリー号(STS-95)」の打ち上げに成功し、搭乗した77歳のジョン・ハーシェル・グレン上院議員が、史上最年長の宇宙飛行士として宇宙へと旅立った。 彼は1962年に米国初の地球周回飛行を達成した宇宙飛行士としても知られ、実に36年ぶりとなる再びの宇宙飛行となった。
グレン氏は、加齢と宇宙環境が人体に及ぼす影響を調査するため、NASAの医学実験に自ら志願。 今回のミッションでは、骨密度の減少、筋力変化、免疫応答、睡眠周期など、高齢者特有の生理的変化と宇宙飛行の相関を調査する重要な研究対象となっている。
今回のSTS-95ミッションには、日本人宇宙飛行士・若田光一氏を含む計7名が搭乗。 合計9日間の飛行期間中、スペースハブ実験モジュールを使用しての多目的科学実験や衛星放出任務が行われる予定だ。
打ち上げは本日午後2時19分(米東部時間)に実施され、見守る観衆の前でシャトルは力強く上昇。 特にジョン・グレン氏の再挑戦は、会場に集まった数万人の市民と報道陣から大きな拍手と歓声を浴びた。
NASA関係者は「ジョン・グレン氏の参加は、宇宙医学と高齢者研究において新たな扉を開くとともに、人間の可能性の象徴でもある」と述べ、宇宙飛行士としての“第二の挑戦”を高く評価した。
かつての“宇宙の英雄”が、再び宇宙に舞い戻る──その姿は、時代と年齢を超えた希望の象徴として、多くの人々の胸を打った。
— RekisyNews 科学面 【1998年】
