ソ連潜水艦、スウェーデン領海で座礁――バルト海に波紋、緊迫の外交問題へ

【カールスクルーナ沖 10月27日】

本日、スウェーデン南部の軍港都市カールスクルーナ近郊において、ソビエト連邦の潜水艦が領海内に侵入し、暗礁で座礁するという前代未聞の事件が発生した。 問題の艦はソ連海軍所属の613型ディーゼル潜水艦「U-137」(NATOコード名:ウィスキー型)であり、事故発生時にはスウェーデン海軍の要衝からわずか数キロの地点にいたという。

この潜水艦は、スウェーデン領海内において明確な許可なしに航行していたことから、同国の中立政策と安全保障上の重大な懸念を引き起こしている。 現場海域は防衛上の高警戒区域であり、スウェーデン軍はただちに艦の拿捕と乗員の拘束を行った。

スウェーデン政府はただちにソ連に対し説明を要求し、外交ルートを通じて抗議を表明。国防相は「偶然の迷航では説明がつかない」と述べ、軍事的意図の可能性を示唆している。一方、ソ連側は公式には「航行機器の故障と天候不良による誤進入」と釈明しているが、詳細な説明は避けている模様。

特に注目されているのは、艦が核兵器を搭載していた可能性である。 スウェーデン当局が艦内に立ち入ったところ、放射線量が一時的に上昇したとの未確認情報もあり、緊張はいっそう高まっている。

今回の事件は、冷戦下の東西対立構造の中で北欧の安全保障を揺るがす深刻な事態とされており、両国間の外交交渉の行方が注目される。 カールスクルーナ周辺では現在も海軍が警戒体制を維持しており、乗員らの取り調べも進行中である。

なお、現地ではこの一件を皮肉交じりに「ウィスキー・オン・ザ・ロック(岩の上のウィスキー型潜水艦)」と呼ぶ声も出ており、事件の衝撃と不条理さを象徴する言葉として広まりつつある。

— RekisyNews 国際面 【1981年】

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