【フロリダ州ケープカナベラル 10月27日】
米航空宇宙局(NASA)は本日午前、新型大型ロケット「サターン I」の初号機(SA-1)による打ち上げ実験を実施し、無事成功した。 同ロケットは、将来的な有人月面探査を見据えた「アポロ計画」の第一段階を担うものとして注目を集めている。
打ち上げはフロリダ州のケープカナベラル空軍基地より行われ、高度136キロ・飛行時間15分25秒にわたって予定通りの軌道を飛行。 積載物はダミーのペイロードであったが、エンジンの作動・燃料分離・姿勢制御などの主要システムはいずれも正常に機能したことが確認された。
今回のSA-1は、第一段のみが稼働する無人試験機であり、エンジンはH-1型を8基搭載。推力は総計で150万ポンド(約680トン)に達し、現行のロケットとしては最大級の規模を誇る。
この打ち上げにより、アメリカはソ連との宇宙開発競争において新たな一歩を踏み出した。 昨年のユーリイ・ガガーリンによる人類初の宇宙飛行(ソ連)に続き、米国としては月面着陸を含むより大規模な有人飛行を目指す構えだ。
NASA広報は、「今回の成果は、アポロ計画の信頼性を証明する第一歩である」と述べており、今後は上段の追加、有人モジュールとの統合実験など、さらなる段階へと進む予定である。
なお、「アポロ」計画は1960年代後半に月面着陸を実現することを目標としており、今後数年間で段階的な打ち上げと有人飛行を重ねていく見通し。
宇宙開発において、今日の打ち上げ成功は技術力・国家威信の両面において米国の前進を示す象徴的出来事となった。
— RekisyNews 科学面 【1961年】
