台湾中部で抗日蜂起、先住民が日本人警官らを襲撃――霧社事件、死傷多数

【霧社(台中州能高郡) 10月27日】

本日午前、台湾中部・霧社(むしゃ)地方において、高砂族セデック族の一部住民が日本人警察官および民間人を襲撃する事件が発生した。 いわゆる「霧社事件」である。事件は運動会の開催にあわせた祝賀の最中に起こり、日本人を中心に百名以上が殺害された模様。

現地の情報によると、蜂起したのはセデック族頭目モーナ・ルダオを中心とする一派で、参加者は300名近くにのぼる。彼らは午前6時ごろから霧社小学校や派出所など複数個所を同時に襲撃し、日本人住民を次々と刃物や猟銃で襲ったという。死亡者には婦女子や学童も含まれており、現地は騒然としている。

この蜂起は、近年進められてきた皇民化政策や労働搾取、文化抑圧などに対する反発が背景にあるとされ、武力抗争へと発展した可能性がある。台湾総督府はただちに鎮圧部隊を派遣し、周辺一帯を戒厳状態とした。

今回の事件は、台湾統治開始以来最大級の先住民族による抗日武装蜂起とされ、当局は武力による鎮圧と同時に、他地域への波及を防ぐための情報統制に乗り出している。

一方で、住民側にも犠牲者が出ており、今後の展開次第では更なる緊張の高まりが懸念される。政府筋は「事態の沈静化を最優先とし、暴動参加者には厳正な対処を行う」としている。

事態の全容はまだ明らかでなく、山岳地帯での掃討作戦は長期化する恐れもある。 周辺住民には外出を控えるよう勧告が出されている。

— RekisyNews 社会面 【1930年】

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