【シカゴ 10月24日】
本日、シカゴ暗黒街の支配者として悪名を馳せたアル・カポネ氏が、イリノイ州クック郡刑務所に収監された。この収監は、彼が巨額の脱税容疑で有罪判決を受けたことに伴う措置であり、アメリカ全土で大きな注目を集めている。
カポネ氏は、禁酒法時代に酒の密造・密売・賭博・売春などを取り仕切り、シカゴ・ギャングのボスとして莫大な富と権力を築き上げた人物。その一方で、ボランティア活動や施しを通じて一部の貧困層からは支持を集めるなど、二面性を持つ存在でもあった。
しかしながら、暴力と賄賂を駆使して法の網をかいくぐり続けてきた彼を追い詰めたのは、銃でも手錠でもなく「税務署」だった。司法当局は、カポネ氏が申告していなかった巨額の収入に目をつけ、脱税の証拠を積み重ねて起訴。裁判では懲役11年の有罪判決が下され、ついにその身柄が拘束された。
本日の入所は仮収監であり、今後は連邦刑務所への移送も検討されている。カポネ氏は収監時、無言を貫き、やややつれた様子を見せたものの、騒動を避けるよう迅速に刑務所の門をくぐった。
今回の収監は、長年にわたり法の裁きを逃れてきた組織犯罪の象徴に対する大きな転換点といえる。アメリカ司法当局は「いかなる巨悪も、法の下では平等であることを示した」として、今回の成果を強調している。
— RekisyNews 社会面 【1931年】
