朝永振一郎氏、ノーベル物理学賞に決定──量子電磁力学の先駆的研究が評価される

【ストックホルム 10月21日】

スウェーデン王立科学アカデミーは本日、1965年のノーベル物理学賞を、日本の物理学者・朝永振一郎(ともなが・しんいちろう)氏に授与することを正式に発表した。受賞理由は、「量子電磁力学(QED)における基礎的研究および理論的枠組みの確立に対する多大な貢献」であり、同賞はアメリカのジュリアン・シュウィンガー氏およびリチャード・ファインマン氏との共同受賞となる。

朝永氏の業績は、戦後日本の科学界において画期的なものであり、粒子と場の相互作用を扱う量子論における「繰り込み理論」の構築に成功。この手法は、当時理論物理学が直面していた無限大の問題を解決へと導いたもので、現代物理学の根幹を支える礎となっている。

朝永氏は現在、東京教育大学(現・筑波大学)の名誉教授を務めるほか、日本学術会議会長としても活躍しており、戦後日本の科学復興と国際的評価の高まりを象徴する存在とされている。

本人は受賞の報に接し、「これは私一人の栄誉ではなく、日本の学界全体の努力の結晶である」と、謙虚に喜びを語った。

今回の受賞により、日本人としては1949年の湯川秀樹博士に続く2人目のノーベル物理学賞受賞者となり、日本の物理学の国際的地位がさらに確立されたことが示された

— RekisyNews 科学面 【1965年】

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