【東京 10月18日】
本日、板垣退助氏を中心とする民権派有志らが、日本で初となる近代政党「自由党」を正式に結成した。これは、政府主導の専制政治に対抗し、国民による立憲政治の実現を目指す自由民権運動の流れの中での歴史的な一歩となる。
結成総会は東京・神田の錦輝館で開催され、板垣氏をはじめ中島信行、河野広中、植木枝盛ら旧士族・民間活動家らが参加。約130名の参加者によって党綱領が採択され、「自由・平等・国権の伸張」「立憲政体の樹立」「民意尊重」を基本理念に掲げた。
板垣氏は総会で、「我々の志は、政府に従うだけの民ではなく、自ら政治を選び、語り、築く国民を育てることにある」と力強く演説。拍手と歓声が場内に響いた。
自由党は今後、全国各地に支部を設け、演説会や機関誌の発行などを通じて民意の啓発を進める構え。とりわけ、来たるべき国会開設に向けて、議会政治の基盤づくりを視野に活動を本格化させる方針である。
政府関係者の中には、政党の存在が秩序を乱すとの懸念もあるが、民権派は「民の声こそが国家の礎」との立場を崩していない。一方で、党内には急進的な言論も含まれており、政府と自由党との緊張関係は今後さらに強まることが予想される。
専制から立憲へ、日本の政治が転換点を迎えつつあることを感じさせる自由党の誕生。この日の記録は、後の国政に大きな影響を与える歴史の始まりとして、刻まれることとなろう。
— RekisyNews 政治面 【1881年】