【バトンルージュ 10月17日】
本日未明、アメリカ・ルイジアナ州バトンルージュ近郊で、日本人の高校生留学生・服部剛丈(はっとり よしひろ)さん(16)が地元住民により銃撃され死亡する事件が発生した。事件は、ハロウィーンを前にした仮装パーティに向かう途中の出来事で、日米の文化的誤解や銃社会の危険性を象徴する痛ましい事態となった。
服部さんは現地のホストファミリー宅から、友人であるアメリカ人少年と共に仮装姿で外出。しかしパーティ会場の住所を誤り、別の民家に誤って立ち入った。これを見た住人のロドニー・ピアーズ氏は、玄関口から「止まれ」と警告したうえで猟銃を発砲。胸部を撃たれた服部さんは、搬送先の病院で死亡が確認された。
現場にいた友人は「服部さんは英語の『Freeze(動くな)』を理解できなかった」と証言。言葉の壁と異文化理解の不足が、悲劇の一因となった可能性がある。
この事件を受けて、在ヒューストン日本総領事館はアメリカ側に厳正な捜査を要請。日本国内では「誰でも銃を持てる社会の危うさ」として、銃規制強化を求める声が強まりつつある。
一方で、地元警察の対応や司法判断にも注目が集まっており、今後の日米間の議論にも影響を与える可能性が高い。服部さんのホストファミリーは「彼は明るく礼儀正しい少年だった。こんなことが起きるなんて信じられない」と涙ながらに語った。
アメリカ社会における銃と恐怖、防衛と誤認──その境界が問われる事件となった。
— RekisyNews 社会面 【1992年】