【カリフォルニア州モハーヴェ 10月14日】
米国空軍の実験機ベルX-1が14日、史上初めて有人による超音速飛行に成功した。操縦を担当したのは、現役の空軍少佐チャールズ(チャック)・イェーガー氏。機体は飛行中に音速を突破し、最高速度はマッハ1.06(時速およそ1126キロ)に達したという。
飛行は同州のエドワーズ空軍基地付近の上空で行われ、X-1はB-29爆撃機の下部から空中発進された。高度1万3千メートル以上に達したX-1は、ロケットエンジンを噴射しながら加速を続け、ついに音速の壁とされるマッハ1の領域を突破。飛行はおおむね水平飛行で行われ、安全に完了したという。
この成果は、これまで「音速の壁」として航空技術の限界とされてきた速度領域に、初めて人類が到達したことを意味する。航空関係者や科学者の間では、今後の高速航空機や宇宙開発に道を拓く画期的な一歩として、驚きと称賛の声が上がっている。
X-1は、弾丸のような機体形状を持ち、液体燃料ロケットで推進される特別設計の実験機。今回の飛行は国家機密として非公開で行われたが、関係筋からの情報により、この歴史的偉業が明らかになった。
イェーガー少佐は、第二次大戦中に多くの撃墜戦績を持つ戦闘機パイロットで、冷静沈着な操縦技術と勇敢な精神で知られている。今回の成功も、未知の速度領域に挑む高い操縦技術と精神力があってこそ実現したと、関係者は語る。
— RekisyNews 科学面 【1947年】
