【フロリダ州ケープ・カナベラル 10月11日】
本日午前、アメリカ航空宇宙局(NASA)は、有人宇宙船「アポロ7号」の打ち上げに成功した。発射はケープ・カナベラル空軍基地より、サターンIB型ロケットによって実施され、宇宙船は予定どおり地球周回軌道に投入された。
搭乗したのは、ウォルター・シラー船長、ドン・アイゼル、ウォルター・カニンガムの3名。特にシラー船長はマーキュリー計画およびジェミニ計画を経て今回が3度目の宇宙飛行となるベテラン飛行士である。
今回のミッションの最大の意義は、アポロ計画初の有人飛行であると同時に、前年1967年のアポロ1号火災事故以降、初の再挑戦である点にある。アポロ1号では火災により3名の飛行士が命を落とし、アポロ計画全体が一時停止する事態に陥っていた。
アポロ7号では、安全性を徹底的に見直した新型コマンド・モジュールが搭載されており、これを地球軌道上で徹底的にテストすることで、将来の月飛行に向けた最終確認が行われる。ミッション期間は約11日間を予定し、各種通信、姿勢制御、ドッキング技術などの確認が進められる。
アメリカ国民と全世界が注目するこのミッションの成功は、NASAの信頼回復と月面着陸への前進を意味する。NASA関係者は「ここからが月への道のりの本番だ」と語り、アポロ計画の本格再始動に手応えをにじませた。
— RekisyNews 科学面 【1968年】