アメリカ、パイオニア1号打ち上げ──月探査へ挑戦

【ケープカナベラル 10月11日】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は本日、無人月探査機「パイオニア1号(Pioneer 1)」の打ち上げに成功した。これは、今月1日に発足したばかりのNASAによる初の宇宙開発ミッションであり、米国による月探査の第一歩として世界の注目を集めている

探査機はジュピターCロケットによってケープカナベラル空軍基地より午前3時42分(現地時間)に発射された。計画では月への飛行を目指したが、軌道投入にわずかに失敗し、月に到達することはできなかった。しかし、探査機は高度11万3千キロに達し、7時間19分にわたり飛行して多くの科学データを地球に送信。地球の放射線帯(ヴァン・アレン帯)や磁場に関する貴重な観測結果が得られたと報告されている。

今回の成果について、NASA広報は「月到達には至らなかったが、技術的には成功とみなせる。宇宙空間での通信、誘導、観測技術の信頼性が実証された」とコメント。今後のパイオニア計画の継続に向けて重要な一歩となった。

ソビエト連邦によるスプートニク1号の打ち上げ(昨年10月)以来、米ソの宇宙開発競争が加速する中、アメリカも本格的な追撃体制に入った。次回以降のパイオニア計画では、改良型の探査機による再挑戦が予定されている。

— RekisyNews 科学面 【1958年】

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