【ハルツブルク 10月11日】
深刻な経済不況と政情不安が続くドイツにおいて、本日右翼保守勢力が一堂に会し、「ハルツブルク戦線(Harzburger Front)」を結成した。会場となったのは中部ドイツ・ニーダーザクセン州の保養地ハルツブルク。構成メンバーには国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)、ドイツ国家人民党(DNVP)、鉄兜団(シュタールヘルム)など、反ヴァイマル体制を掲げる諸勢力が集結しており、対議会制・反共産主義を旗印に共同戦線を張る構えだ。
集会ではアルフレート・フーゲンベルク(DNVP)やアドルフ・ヒトラー(ナチス党党首)などが演説を行い、現在の社会民主党政権による政策の失敗を厳しく非難。続く恐慌と失業に苦しむ国民感情を背景に、強力な国家主義的指導体制の必要性を訴えた。
この「ハルツブルク戦線」は、正式な政党連合ではないものの、今後の選挙や政府への圧力において右翼勢力の結束を象徴するものとして注目されている。一方、内部には政策や戦術をめぐる溝もあり、ヒトラー率いるナチスと他の保守勢力の関係性には依然として緊張が残るとの見方もある。
急進化する政治情勢の中で、この新たな右翼連合がドイツの今後に与える影響は計り知れない。ヴァイマル共和国の命運もまた、一層不透明さを増している。
— RekisyNews 国際面 【1931年】
アイキャッチ画像 Bundesarchiv, Bild 102-02134 / Georg Pahl / CC-BY-SA 3.0, CC BY-SA 3.0 de, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5414051による