ボールダーダム、ついに発電開始──米西部の未来に灯りともる

【ネバダ州ボールダーシティ 10月9日】

コロラド川をせき止める米国最大の土木事業「ボールダーダム」にて、本日ついに初の商業用発電が開始された。

西部開発の象徴とも称されるこの巨大ダムは、1928年の着工から8年をかけて完成し、本日ついにその中枢となる水力発電機が稼働を開始。カリフォルニア州・アリゾナ州・ネバダ州などに向け、初の電力が送電された。

発電開始に際し、現地では簡素ながらも祝賀式が催され、政府関係者や工事関係者がその達成を祝った。初期出力は約11万キロワットとされており、今後は段階的に増強され、最終的には130万キロワット超の能力を持つ見通し。

ボールダーダムは、長年にわたり干ばつと洪水に悩まされてきたアメリカ南西部において、農業用水・都市用水の安定供給を可能とするだけでなく、電力供給によって工業発展も大きく後押しするものと期待されている。

なお、同ダムは来月より「フーバーダム」と正式に呼称が変更される見込みであり、前大統領ハーバート・フーヴァー氏の尽力を称える命名とされる。現地住民の間では「大いなる壁(Great Wall of the West)」として親しまれており、観光地としての人気もすでに高まっている。

全米の注目を集めたこの巨大プロジェクトが、いよいよ「光を生むダム」として本格稼働を始めたことで、アメリカの近代化と西部の繁栄が新たな段階に入ったといえるだろう。

— RekisyNews 科学面 【1936年】

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