【東京 10月9日】
本日、連合国軍総司令部(GHQ)民間情報教育局(CIE)は、在京5紙に対し「事前検閲」の実施を開始した。これは敗戦後の日本において、報道が連合国の占領政策に従うよう監督する措置であり、「表現の自由」のあり方に重大な影響を及ぼす動きとして、関係者の間に波紋を広げている。
対象となったのは、朝日新聞、毎日新聞、読売報知新聞、東京新聞、日本経済新聞の5紙。いずれも東京を拠点とする全国的有力紙であり、その報道内容は世論形成に大きな影響を与えると見なされている。
GHQはすでに9月に「プレスコード」(新聞出版用編集規準)を通達しており、戦争賛美・軍国主義・占領軍批判などを禁じる原則が示されていた。今回の措置はそれに続くもので、記事の掲載前にGHQの担当官が内容を確認・修正を求める権限を持つことになる。
新聞関係者からは、「報道の公正さを守るため、節度ある自主規制の道が望ましい」との声もあるが、一方で「言論統制に逆戻りするのでは」と危惧する意見も少なくない。
GHQは「占領統治の円滑な遂行と民主主義の確立を妨げないための一時的措置」と説明しているが、その「一時的」がいつまで続くのかは不透明なままだ。
新聞は今、戦時中の軍部統制から解き放たれた直後という転換期にある。自由と責任の両立が問われる中、あらためて「何を伝え、何を黙すべきか」が問われている。
— RekisyNews 社会面 【1945年】
