【ニューヨーク 10月8日】
米大リーグ・ワールドシリーズ第5戦が8日、ヤンキー・スタジアムで行われ、ニューヨーク・ヤンキースのドン・ラーセン投手(27)がブルックリン・ドジャース相手に完全試合(パーフェクトゲーム)を達成した。ワールドシリーズにおいて、打者27人を一人も出塁させずに抑える完全試合は史上初の快挙であり、全米に衝撃を与えている。
試合は昼過ぎに開始され、約64,500人の観衆が詰めかける中、ヤンキースの先発・ラーセンは1回からテンポ良く打者を打ち取り、ドジャース打線にまったく付け入る隙を与えなかった。ストライク先行の投球で、三振7、内野ゴロ11という内容。最終回、最後の打者デール・ミッチェルを見逃し三振に仕留めると、スタジアムは総立ちとなり、捕手ベラがマウンドへ駆け寄る名シーンが生まれた。
ラーセン投手は1953年にメジャー入りし、今季は主にローテーションの一角として活躍。これまで制球力に課題があったが、この日の投球はまさに神がかりで、本人も「すべてが完璧にかみ合った。夢のようだ」と語った。
打線はヤンキースが6回にマンテル選手の適時打などで2点を先制し、そのまま逃げ切った。シリーズはこれでヤンキースが3勝2敗とリードし、2年ぶりの王座奪還に大きく前進した。
この歴史的な完全試合は、メジャーリーグのみならず、野球史全体に残る一幕として語り継がれるだろう。
— RekisyNews スポーツ面 【1956年】