【東京 10月8日】
一連のオウム真理教事件に関連し、警視庁公安部と神奈川県警などの合同捜査本部は8日、教団幹部で元科学技術省大臣とされる上祐史浩容疑者(32)を、教団の組織的犯行に関わった疑いで逮捕した。オウム幹部の逮捕はこれで数十人目となり、教団中枢への包囲網がさらに強まった。
上祐容疑者は、早稲田大学理工学部出身で、教団内では「科学技術省大臣」などの肩書きを持ち、教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)元代表の側近として活動。化学兵器や通信機器など教団の技術インフラ整備に深く関与していたとされる。
捜査本部は、今年3月の地下鉄サリン事件の後、教団関連施設の家宅捜索を通じて、上祐容疑者の関与を裏付ける証拠を多数押収。加えて、複数の元信者や逮捕者の供述から、彼が事件後の隠蔽工作や情報操作にも関与していた疑いが強まっていた。
逮捕時、上祐容疑者は東京都内のマンションに潜伏していたが、捜査員の呼びかけに応じて自ら玄関を開け、無抵抗で身柄を確保された。報道陣の前では終始沈着な態度を崩さず、「私には関係ない」と語ったという。
捜査当局は今後、上祐容疑者からの供述を通じて、教団の意思決定構造や犯行の全容解明に迫る方針だ。また、麻原元代表への本格的な追及も視野に入れており、教団壊滅に向けた山場を迎えている。
— RekisyNews 社会面 【1995年】