昭電事件で政界激震 西尾前副総理を逮捕、収賄容疑で

【東京 10月6日】

政界を揺るがす大疑獄「昭和電工事件」は、本日ついに前副総理である西尾末広氏の逮捕へと発展した。東京地検特捜部は6日午前、同氏に対し、昭和電工株式会社からの巨額献金の見返りに便宜供与を行った収賄容疑で逮捕状を執行した。

西尾氏は、民主党幹部として幾度かの閣僚経験を持ち、片山内閣では副総理兼厚生大臣を務めた実力者。今回の容疑は、戦後の経済統制下において、昭和電工の経営者側に対し、資材・物資配給に関する便宜を図る見返りとして、数十万円規模の金品を受け取ったというもの。

事件の発端は、経済安定本部を中心とする調査において、昭和電工の経営資金の一部が政界へ流れていたとの疑惑が浮上したことに始まる。その後の捜査により、複数の政界関係者への“献金”と称した不正資金の授受が判明し、元商工大臣の芦田均元首相らも取り調べを受けていた。

逮捕後の取り調べに対し、西尾氏は「政治献金として受け取ったもので、便宜を図った事実はない」と容疑を否認している。だが、検察はすでに関連する証拠や証言を複数掌握しており、今後の立件を視野に入れている模様だ。

戦後混乱期の中で芽生えた政財界癒着の象徴とも言えるこの事件は、国民の政治不信を一層深める結果となっており、政府与党内にも動揺が広がっている。政界浄化の声が高まる中、昭電事件の捜査の行方は今後の政局にも大きな影響を与えることは確実だ。

— RekisyNews 社会面 【1948年】

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