【ベルリン 10月3日】
本日10月3日、東西に分かれていたドイツが正式に再統一され、ひとつの主権国家として新たな一歩を踏み出した。
ドイツ民主共和国(東ドイツ)は連邦共和国(西ドイツ)に編入され、ベルリンが統一ドイツの首都として定められた。
午前0時、旧東ドイツ地域では国旗が降ろされ、新たに黒・赤・金の三色旗が掲げられた。ベルリンのブランデンブルク門前では、祝賀ムードの中、数十万人の市民が歓声と共に「ドイツ!ドイツ!」の合唱を響かせ、統一を喜んだ。
東西ドイツは第二次世界大戦後、1949年に米英仏の占領地域から西ドイツ、ソ連の占領地域から東ドイツがそれぞれ成立。以後、冷戦の象徴として分断された状態が41年間続いた。
昨年11月、ベルリンの壁が崩壊したことを契機に急速に統一機運が高まり、今年8月には統一条約が正式に締結され、本日の「統一の日」を迎えるに至った。
統一ドイツの初代首相は、これまで西ドイツを率いてきたヘルムート・コール首相がそのまま就任。ブッシュ米大統領やサッチャー英首相、ゴルバチョフ・ソ連大統領ら国際社会も祝意を表明している。
旧東独地域では、政治・経済制度の急激な転換に伴う混乱も予想されているが、多くの市民は自由と統一の未来に大きな期待を寄せている。
45年にわたる分断を経て、ひとつの祖国へ。
「統一ドイツ」は、ヨーロッパ新時代の象徴として歴史の節目を迎えた。
— RekisyNews 国際面 【1990年】