【フィラデルフィア 10月3日】
アメリカ合衆国の初代大統領ジョージ・ワシントンは本日、公式文書に署名し、本年11月26日（木曜日）を国家の「感謝の日」として祝うよう国民に呼びかけた。この布告は、大統領の要請を受けた連邦議会の決議に基づくもので、国家として初の「感謝祭」宣言とみられる。
大統領布告では、「全能なる神への感謝の念を表すと同時に、国家の幸福、自由、平和の維持を祈る日とする」ことが謳われている。独立戦争の勝利と憲法の制定を経たばかりのこの若き共和国において、宗教的精神と市民的徳目の融合が強く意識されている点が注目される。
また、布告文では各州とその住民に対し、「神の慈しみと導きに対する謙虚なる感謝」を捧げるよう求めるとともに、「国の安寧、法の支配、そして道徳の涵養」を願う誠実な祈りが推奨された。
ワシントン大統領自身、敬虔な信仰心で知られており、合衆国の礎を築くにあたって道徳と信仰の役割を重視してきた。今回の「感謝の日」制定は、そうした理念を国民的儀礼として具現化する試みとも言えるだろう。
各地の州政府では、すでに地元の牧師や教会と連携し、感謝祭当日の礼拝や慈善活動を企画する動きが出ている。新生アメリカの精神的統一に向けて、ひとつの節目となる日が刻まれようとしている。
— RekisyNews 政治面 【1789年】
