【那覇 10月1日】
沖縄本島に本拠を置く琉球放送(RBC)が本日、待望の開局を果たし、沖縄初となる民間ラジオ放送局として正式に電波を発信した。午前6時、開局を告げるファンファーレとともに第1声がラジオから流れると、那覇市内のみならず本島各地の家庭で、感動の声が相次いだ。
琉球放送はアメリカ民政府(USCAR)統治下にあった沖縄で、民間主導による初の放送事業として設立されたもので、“声の新聞”として地域に密着した情報を提供することを使命に掲げている。開局初日には、琉球民謡や学校放送、地元ニュース、米国ニュース翻訳など多彩な番組が編成され、島民にとって新たな情報と娯楽の源泉となった。
局舎は那覇市天久に設けられ、中波AMのラジオ放送(周波数:630kHz)が那覇市内と周辺市町村に向けて出力5キロワットで送信されている。今後は、離島を含む沖縄全域への放送網の拡充が計画されており、技術陣やアナウンサーの養成も進められている。
開局にあたり、RBCの代表者は「本放送が沖縄の生活に根ざし、文化と平和の懸け橋となるよう努力したい」と語り、「言論の自由」と「地域主導の放送文化の確立」を掲げた放送方針を強調した。
島民のひとりは「自分の暮らす沖縄から声が届くなんて夢のようです。離れて暮らす家族の声も、これからはラジオで聞けるかもしれない」と話し、戦後復興の中で情報の力がもたらす希望の大きさを感じさせた。
— RekisyNews 社会面 【1954年】