オーストリア帝国、通信史に新章──世界初の郵便はがき発行開始

【ウィーン 10月1日】

本日、オーストリア帝国政府は新たな通信手段として、世界初の「郵便はがき(Korrespondenzkarte)」の発行と郵送業務を正式に開始した。これは、これまでの封書に代わるより簡易かつ安価な通信手段として設計されたもので、国内外の通信手段に一石を投じる試みである。

新たに導入された郵便はがきは、表面に差出人と受取人の住所を記載し、裏面には簡潔な文面を記す形式。切手は不要で、既に郵便料金(2クライツァー)が印刷された状態で販売される。サイズは小型で取り扱いも容易であり、官製のため信頼性も高いとされる。

この制度の提案者であるエマヌエル・ヘルマン博士(オーストリアの経済学者)は、通信費の軽減と簡略化によってより多くの国民が手軽に意思疎通できる環境を整えることが目的と語っている。すでにウィーン市内の郵便局では多くの市民がはがきを購入し、その斬新さに驚きの声を上げている。

一部では「封書に比べてプライバシーが確保されないのでは」との懸念も聞かれるが、政府はこの形式が「迅速で開かれた時代の要請に即したものである」と主張。今後の郵便制度全体に変革をもたらす可能性があると見られている。

このオーストリア発の試みは、今後ヨーロッパ諸国にも波及し、国際郵便の在り方そのものを変える先駆けとなるかもしれない。

— RekisyNews 経済面 【1869年】

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