【ロンドン・ホワイトチャペル 9月30日】
今朝未明、イーストエンドのホワイトチャペル地区で2人の女性が相次いで惨殺されているのが発見され、連続殺人事件が新たな局面を迎えた。 いずれも無惨な状況で、被害者は娼婦と見られており、住民の間に再び強い不安が広がっている。
1人目の遺体は午前1時頃、ダットフィールド・ヤードにて発見された。 女性は喉を深く切られており、所持品からロンドン市内に暮らすエリザベス・ストライド(推定44歳)と特定された。通報を受けて現場に駆け付けた警察によれば、切り裂きの状況は過去の事件に酷似していたが、腹部は損傷しておらず、犯行が何らかの理由で中断された可能性が指摘されている。
そしてそのわずか約45分後、ミルズ・コート(ミトア通り)にて2人目の女性の遺体が発見された。 被害者はキャサリン・エドウズ(推定46歳)と確認され、遺体は激しく損傷しており、内臓の一部が取り出されるという異常な手口がとられていた。極めて短時間で2件の殺人が発生したことから、犯人が意図的に連続犯行を行った可能性もある。
この連続殺人は、先月以降ホワイトチャペルで相次いで発生している女性殺害事件と手口が共通しており、一連の犯行を行っているとされる「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」によるものと見られている。現地では警備が強化され、住民の外出を控える動きもみられるが、犯人の手がかりはいまだ得られていない。
市警察およびスコットランドヤードは引き続き合同で捜査を進めており、「市民の通報と協力が何より重要」として、不審者の目撃情報の提供を呼びかけている。
— RekisyNews 社会面 【1888年】