【長門・大寧寺 9月30日】
西国の雄として知られる周防・長門の太守大内義隆公(享年48)が、本日未明、長門国豊浦郡の大寧寺にて自刃したことが関係筋により明らかとなった。背後には、家臣陶隆房(すえ たかふさ)による謀反の動きがあり、実質的な政変と見られる。
義隆公は、京文化を愛好し、多くの学者・僧侶・芸術家を庇護するなど、文化面での功績が高く評価されてきた。一方で、内政においては近年、家中の不満が高まり、軍事に秀でた陶隆房の台頭を許すこととなった。近隣では、「陶が実権を握る中、主君はもはや名ばかり」と囁かれていた。
今月下旬、陶隆房が周防・山口にて挙兵。義隆公はわずかな供を連れて大寧寺へ逃れたが、包囲の手を逃れることができず、本日、家臣数名と共に切腹した。寺の門前には地元の民が集まり、沈痛な面持ちで動向を見守っていた。
陶隆房は義隆公の養嗣子・義長を擁立し、新体制の樹立を進めている模様。今後は大内家の実権が陶一族に移る公算が高い。周辺諸国では動揺が広がっており、西国の権力地図に大きな変動が生じる可能性がある。
義隆公の治世は、京との文化交流を通じて西国に華やかな文化をもたらした一方、政治基盤の脆弱さが露呈した形となった。大寧寺の地には、文化人たちによる弔問が早くも相次いでいる。
— RekisyNews 政治面 【1551年】