【ビルバオ 9月25日】
本日、スペイン・ビルバオにて、発明家レオナルド・トーレス・ケベード氏による画期的な機械装置「テレキノ(Telekino)」の公開実演が行われ、現地の科学者や技術関係者を驚嘆させた。この装置は、電磁波を用いて遠隔から命令を送信し、それを機械が受信・実行するという仕組みで、世界初の「無線操縦(ラジオコントロール)」技術として注目されている。
実演では、小型の無人ボートが河川上に浮かべられ、岸に設置された送信機からの信号に応じて前進・停止・方向転換といった動作を正確に行った。操縦者の手には一切のケーブルはなく、すべてが無線信号で制御されていた点に、観衆は一様に驚きを見せた。
トーレス・ケベード氏は、演説の中で「機械はもはや人の手によって動かすだけのものではなく、遠隔から思考に従わせることができる時代が来た」と述べ、軍事・工業・通信の各分野での応用可能性に言及。観衆からは賞賛と共に、未来への期待の声が相次いだ。
この「テレキノ」は、無線信号を三進法で受信し、対応する命令を解析して内部の制御装置に伝えるという複雑な論理回路を備えている。理論的には、あらゆる機械に応用可能とされており、今後の発展によっては人の手を介さずに機械を制御するという新たな社会像も描かれ始めている。
ビルバオでの成功は、スペイン科学界における快挙であると同時に、人と機械の関係を根底から変える技術の幕開けを示した瞬間でもあった。
— RekisyNews 科学技術面 【1903年】