【岡山 9月22日】
本日、岡山市内にて、医師・石井十次(いしい じゅうじ)氏により、わが国初となる孤児院「孤児教育会」が正式に設立された。家庭や親を失った子どもたちに、食事と寝床、そして教育の場を提供するという試みは、これまでの慈善活動の枠を超え、体系的な養育と自立支援を目的とした先駆的な施設として注目を集めている。
石井氏はかねてより、人道とキリスト教の教えに基づき、貧困と孤立に苦しむ子どもたちへの支援を志しており、これまでにも個人で孤児の保護にあたってきた。今回の施設設立に際し、自身の私財を投じて土地を確保、建物を整え、すでに数名の孤児の受け入れを開始しているという。
施設は岡山市の郊外に位置し、清潔な寝室と学習室、炊事場を備え、子どもたちが安心して生活できる環境が整えられている。 また、近隣の住民からも温かな支援が寄せられており、「子どもたちの泣き声が笑い声に変わった」と語る声も聞かれた。
本孤児院では単なる保護にとどまらず、読み書きや職業訓練など、社会で自立して生きていくための教育も重視される方針。石井氏は「彼らをただ育てるのではなく、世に送り出すことが使命」と語っている。
貧富の格差が拡大し、孤児の存在が社会問題化しつつある中で、今回の取り組みは慈善の在り方を見直す大きな契機となりうる。今後、他地域への広がりも期待されている。
— RekisyNews 社会面 【1887年】