木星探査機「ガリレオ」、大気圏に突入し運用終了──14年の使命に幕

【カリフォルニア州パサデナ 9月21日】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は21日、木星系の探査を続けてきた無人探査機「ガリレオ」が、同日午後(米国太平洋時間)に木星の大気圏に突入して消滅したと発表した。1995年の木星到達から約8年、打ち上げからは実に14年にわたる探査活動を終えたことになる。

「ガリレオ」は1989年、スペースシャトル「アトランティス」から打ち上げられたNASAの惑星探査プロジェクトの一環で、木星およびその衛星群の詳細観測を目的として開発された。当初は1997年に運用終了の予定だったが、予想を上回る成果と耐久性から延長運用が続けられていた。

探査機は木星本体だけでなく、エウロパ、ガニメデ、イオなどの主要なガリレオ衛星の観測にも成功。特にエウロパでは、氷の下に液体の水が存在する可能性が高いことを示すデータを取得し、今後の生命探査にも道を開く成果を残した。

NASAは「ガリレオ」の運用終了にあたり、惑星間の生物汚染を避けるため、探査機を制御下で木星大気圏に突入させる方針を採用。これは、ガリレオの部品が将来的に衛星に衝突し、地球由来の微生物が付着したまま残留するリスクを回避するためである。

突入時の速度は時速17万キロを超え、探査機は瞬時に摩擦熱で蒸発したとみられている。NASA関係者は「使命を全うし、科学の扉を大きく開いた探査機に深い敬意を表したい」と語った。

今後は「ガリレオ」が送信した膨大な観測データの解析が引き続き進められるとともに、次世代探査機「ジュノー」計画などへとバトンが引き継がれていく。

— RekisyNews 科学技術面 【2003年】

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