銀座に集う「みゆき族」 一斉補導で85人が警察署へ連行される

【東京・銀座 9月19日】

本日未明、東京都中央区銀座・みゆき通りに集まっていた若者グループ、いわゆる「みゆき族」に対して、警視庁築地署が一斉補導を実施し、85人が連行された。補導対象となったのは、いずれも10代から20代前半の男女で、派手な服装と奇抜な髪型で路上にたむろしていた者たちである。

「みゆき族」は、銀座のみゆき通りに集まる若者たちに対する通称であり、戦後の経済成長とともに育った新世代の“豊かさ”と“個性”を象徴する存在として注目を集めてきた。音楽、ファッション、自由な価値観を共有する彼らは、社会の既成概念とは一線を画した独自のスタイルを打ち出している。

しかし、近隣の商店街や住民からは「通行の妨げになる」「騒音やゴミの問題がある」などの苦情が相次いでおり、警察は**「風紀の乱れ」「青少年の健全育成に反する行為」**として警告を続けていた。今夜の補導は、その警告を無視して集まり続ける若者たちに対する“見せしめ的措置”との見方もある。

警視庁は「今回の措置はあくまで指導の一環であり、法的な処罰を目的としたものではない」とコメント。一方で、補導された若者の一部は「自分たちは誰にも迷惑をかけていない」「なぜ補導されなければならないのか分からない」と不満を口にしている。

高度経済成長のただ中にあって、伝統と革新が交錯する東京の街。その象徴とも言えるみゆき通りでのこの出来事は、新しい時代を生きる若者と、従来の価値観を重んじる大人社会との軋轢を映し出す一幕とも言える。

— RekisyNews 都市社会面【1964年】

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