【ロンドン 9月19日】
第二次世界大戦中にナチス・ドイツの宣伝放送を行い、イギリス国民に向けて敵側のプロパガンダを流し続けた「ホーホー卿」ことウィリアム・ジョイス被告に対し、本日、ロンドンの王立裁判所は大逆罪による死刑判決を言い渡した。
ジョイス被告はアメリカ出身ながら、かつてイギリスのパスポートを所持していたことから「国王への忠誠義務があった」と法廷は認定。これにより、イギリスに対する裏切り行為が成立したと判断された。陪審団は全会一致で有罪評決を下し、判事も「その行為は国家の安全と士気を深く傷つけるもの」と厳しく断罪した。
ジョイスは戦時中、ナチス・ドイツのラジオ番組を通じてイギリス国内に向けて数百回にわたる英語の宣伝放送を実施。嘲笑混じりの口調でイギリス軍や政権を非難した放送は、「ロンドン放送のホーホー卿」として皮肉とともに広く知られるようになった。
戦後、デンマークでイギリス軍に拘束されたジョイス被告は、自らの言動について「言論の自由の範疇だ」と主張したが、法廷はこれを退けた。今回の判決は第二次大戦後のイギリス国内における初の大逆罪による死刑とみられており、戦時下の協力者に対する厳罰姿勢を象徴する裁きとなった。
なお、ジョイス被告は判決を不服として上訴する意向を示しているが、執行は早ければ年内にも行われる可能性がある。
— RekisyNews ヨーロッパ支局【1945年】