【徳島市 9月17日】
本日行われた徳島県知事選挙において、NHK(日本放送協会)は史上初となる「テレビによる政見放送」を実施した。これにより、これまでラジオに限られていた選挙公報の手段に、映像を伴う新たなメディアが加わることとなり、国政・地方政治を問わず、今後の選挙報道に大きな変革をもたらすものとみられる。
放送はNHK徳島放送局が担当し、候補者らの政見があらかじめ収録された形で、午後8時台の時間帯に放映された。視聴者からは「候補者の顔が見えることで、親しみやすくなった」「文字や声だけでは伝わらない印象がある」といった反応も寄せられており、映像メディアの選挙利用が有権者との距離を縮める可能性を示した。
NHK側は今回の放送について、「国民の知る権利に応える放送の一環として、技術と公共性のバランスを慎重に検討した上で実施した」と説明。選挙の公平性を確保するため、全候補者の放送時間を同一に揃え、編集も一切行わない「完全ノーカット方式」が採用された。
このテレビ政見放送は、今後の国政選挙や他県での地方選挙にも波及していくとみられ、メディアと政治の新たな接点として注目されている。とりわけ若年層や都市部の無党派層に対して、投票行動の促進につながるとの期待もある。
一方で、テレビ出演に不慣れな候補者への配慮や、演出過多による印象操作への懸念も指摘されており、新しい手法にふさわしい放送倫理と制度整備が今後の課題となりそうだ。
— RekisyNews 社会面 【1969年】