皇帝コンスタンス2世、暗殺さる──シチリア宮廷に衝撃走る

【シラクサ 9月15日】

昨夜、シチリア島シラクサに滞在中の東ローマ帝国皇帝コンスタンス2世(享年37)が、入浴中に従者によって暗殺された。帝国の西方統治強化を目的として5年前より当地に滞在していた皇帝の急死は、帝国全土に衝撃を与えており、宮廷内では早くも後継と政情の混乱を懸念する声が広がっている。

事件が起きたのは夜半、皇帝が日課の入浴中に、一人の従者が突如として鉄の水差しで皇帝の頭部を打ち、即死させたとされる。襲撃者はその場で拘束されたが、動機や背後関係は現在も捜査中であり、宮廷は一時騒然となった。

コンスタンス2世(本名フラヴィオス・ヘラクリオス・コンスタンティノス)は、641年に父であるコンスタンティノス3世の死に伴い、わずか11歳で帝位に即位。その治世においてはイスラム勢力による急速な拡大に直面し、シリア・エジプトといった東方の要衝を次々と失うという苦難の時期であった。これを受け、彼は帝国西部の立て直しとラヴェンナ総督府の再編のため、663年より自らシチリアへ移動し、現地統治を試みていた。

近年では、ビザンツ本土から距離を置いた皇帝の行動に対し、コンスタンティノープルの官僚層や貴族の間で不満が高まっていたと伝えられる。今回の事件にこれらの不満勢力が関与している可能性も取り沙汰されており、捜査の行方に注目が集まっている。

現在、首都では皇帝の子コンスタンティノス4世が摂政として政務を担っており、今後は彼の即位が正式に宣言される見通しである。帝国は内外に困難を抱える中、新たな時代の幕開けを迎えようとしている。

— RekisyNews 帝国通信 【668年】

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